捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
5話 皇帝の思惑(皇帝視点)
* * *
私がブルリア帝国の皇帝となってから、類をみない危機が訪れている。
かつて帝国は大陸最大の大国として栄華を極め、すべての者が私に平伏していた。ほんの二年前までのことだ。わずか二年で小国だったアステル王国が勢力を強め、帝国の威信が揺らいでいる。
原因は明白だ。竜人の国ラクテウス王国がアステル王国の後ろ盾になり、一度は落ちぶれた魔道具開発でアステル王国が国力を取り戻しつつあった。
どの時代を見ても竜人が特定の国だけを庇護した記録はない。だからこそ周辺国も、時代が変わりブルリア帝国は終わるのだと態度が変わりはじめた。
私が帝国最後の皇帝になるつもりはない。ハイレットへ引き継ぎ、帝国の変わらぬ繁栄を見下ろしながら余生を過ごすのだ。
そこでノックの音が響き、「父上、ハイレットです」と息子の声がした。
私がブルリア帝国の皇帝となってから、類をみない危機が訪れている。
かつて帝国は大陸最大の大国として栄華を極め、すべての者が私に平伏していた。ほんの二年前までのことだ。わずか二年で小国だったアステル王国が勢力を強め、帝国の威信が揺らいでいる。
原因は明白だ。竜人の国ラクテウス王国がアステル王国の後ろ盾になり、一度は落ちぶれた魔道具開発でアステル王国が国力を取り戻しつつあった。
どの時代を見ても竜人が特定の国だけを庇護した記録はない。だからこそ周辺国も、時代が変わりブルリア帝国は終わるのだと態度が変わりはじめた。
私が帝国最後の皇帝になるつもりはない。ハイレットへ引き継ぎ、帝国の変わらぬ繁栄を見下ろしながら余生を過ごすのだ。
そこでノックの音が響き、「父上、ハイレットです」と息子の声がした。