捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 それにこういったパーティーや夜会では他の異性と踊ることなど、特別なことではない。これも外交の一種なのだから。

「わかりましたわ。では一曲だけ」
「ありがとうございます! ですが、もし二曲付き合っていただけたなら、ロザリア様の願いをひとつ叶えましょう」

 二曲続けて同じ相手と踊るのは、相手に好意があるとみなされる。お互いに婚約者や伴侶がいる場合は別だけれど、それでも通常よりも親密だと周りは思うものだ。
 きっと両国が友好的だと知らしめたいのだろう。だからダンスを断る私に食い下がり、こんな条件をつけたのだ。

 それに、ハイレット殿下の申し出が本当ならば、帝国での販路拡大が大きく前進する。例えば運輸業を営む貴族を紹介してもらってもいいし、大商会を営む貴族を紹介してもらってもいい。

 場合によっては、ハイレット殿下と魔道具の輸出に関して有利な条件で契約できるかもしれない。

「本当ですか?」
「はい、嘘は申しません。私にできることならなんなと」
「……わかりました。では二曲お付き合いいたします」

 あまり気が進まなかったけれど、販路拡大のためと私はハイレット殿下の手を取った。


< 39 / 200 >

この作品をシェア

pagetop