捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
「まあ、なんてお仕事熱心なのでしょう。これは私も見習わないといけません。まだまだ努力が足りませんでした」

 なんだろう、どうも今までの女たちと反応が違うようだ。

 私が微笑んでふたりの時間を作りたかったといえば、だいたいの令嬢は頬を染めて恥じらうのだが……これはどういう反応だ?

 もしかしてお互いに相手がいるから、わざと遠慮しているのか? それならもう少しわかりやすく伝えてみるか。

「では、ロザリア様の望みをお聞かせいただけますか?」
「あの、本当にどのようなことでもよろしいのですか?」
「もちろんです。貴女の望みなら、どんなことでも叶えて見せましょう。その代わり——」

 ここで拳ひとつ分の距離も詰めて、恋情を隠さず不思議そうに私を見上げるロザリアを見つめる。

「もっと私のことを知って、私のことで心を埋め尽くしてほしいです」

 ここまで言えば、さすがに私の気持ちにも気が付くはずだ。そうすればいくら互いにパートナーがいたとしても、私の魅力に心奪われている女は反応を見せるはず。

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