捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 今回探している素材は、どれもレア素材の中でも特に貴重なものだった。
 まずは番探しの魔道具を完成させるためのものだ。あまりに貴重な素材を使っては量産できないけれど、それはおいおい研究するつもりでいる。

「今回私が探しているのは、三つの素材です。アクアクォーツ、イーグルアイ、そしてレッドベリルです」
「どれも希少な魔石ですね」
「あまりにも採掘量が少なく市場に出回っているものを探すしかないので、帝都ならあるかと思ったのです」

 ハイレット様に探している素材について説明すると、帝都でも一番大きな魔道具を扱う専門店へ案内された。

 移動の間は説明もあったので私とハイレット様、アレスとセラフィーナ様の組み合わせで歩いている。
 ちらりと後ろを振り向くと、セラフィーナ様がやたらアレスと距離を縮めていた。ざわりと心が逆立ち、黒い感情が渦巻いていく。

「ロザリア様、店主と直接話しましょう。こちらへどうぞ」
「あ、はい……」

 今は公務の時間だ。新婚旅行はまだ始まってもいない。
 必死にそう考えて、暴走しそうな感情を抑えつけた。聞きたくないのに、甲高いセラフィーナ様の声が耳に届く。

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