捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
「アレス様、この魔道具とっても綺麗ですね! まるでアレス様の瞳のようですわ」
「ありがとうございます」

 アレスの柔らかい声音に、心臓が潰れそうになった。これは公務だから、ラクテウス王国のために販路確保をするためだからと、何度も何度も心の中で呟く。
 それでも込み上げてくる感情は、醜い嫉妬の嵐だ。

 そんな風に他の女性(ひと)に優しく話しかけないで。
 アレスの隣に立つのは私だけなのに。
 優しくするのも微笑みを向けるのも、私だけにして——

「お嬢様、大丈夫ですか?」

 アレスの声が耳元で聞こえてハッとする。

「……ごめんなさい、大丈夫よ」
「大丈夫な顔色ではないですね。申し訳ありませんが、この店での素材探しはハイレット様とセラフィーナ様にお願いしてもよろしいですか?」

 どうしよう、アレスが私を見てくれるだけで嬉しい。
 そっと触れる指先が温かくて、たったこれだけで気持ちが落ち着く。

「いや、しかし魔石を探すのにはロザリア様がいないと……ここは私がロザリア様をお世話いたします」
「そうですわ、それが一番よろしいですわ!」

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