捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
10話 これはお役目です
「次はもう少し専門的な店舗をご案内します。こちらならレア物もあるはずです」
「承知しました。お手間をおかけして申し訳ありません」
「いえ、ロザリア様のためでしたら、これくらいどうということはありません」
そう言ってハイレット様は穏やかに微笑んだ。
ただし、少々距離感がおかしいと思う。私の右隣にはハイレット様の腕が触れ合うくらいの距離にいて、左隣にはアレスが同じくらいの距離にいる。さらにアレスを挟んでその隣にはセラフィーナ様がいるから、四人並んで歩いているのだ。
「あの、いくら道が広いとはいえ、四人で並んで歩くのは他の方にご迷惑ではないでしょうか?」
「そうですね。それでは私はロザリア様との約束で話したいこともありますし、アレス様はセラフィーナと街を楽しんでください」
アレスを見ると、感情のこもっていない眼差しで微笑みを浮かべていた。私の気持ちを汲んで、今は公務の時間だと割り切ってくれたようだ。
先ほどは動揺してしまったけれど、この後はしっかりと王太子妃としてお役目を果たさなければならない。アレスに心配されないように、しっかりと感情のコントロールをしていくのだ。