捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
「せっかくだからアレスはセラフィーナ様から販路に影響力のある方のお話を聞いてくれる? セラフィーナ様、お願いできますか?」
「ええ、お任せください! わたくしがアレス殿下にじっくりとご説明いたしますわ!」

 せめて公務に関する話をしてほしくてセラフィーナ様に頼むと、思いのほか快く応じてくれた。もしかしたら馴れ馴れしいだけで、心根は素直な方なのかもしれない。

「ロザリア様は帝都で素材を探す予定だったのですか?」
「ええ、まずは物が集まる帝都で探して、なければ周辺の主要都市も回るつもりでした」
「なるほど。では帝都で見つからなければ、次の街へ向かう途中でひとり目の貴族をご紹介しましょう。昨夜のうちに私から手紙を送り話は通してあります」

 ハイレット様はすでに準備を進めていたようで、今後の予定もすんなり決まっていく。
 これなら素材さえ見つかってしまえば、早く新婚旅行に戻れそうだと思った。ずっとラクテウスにこもっていたから、外交の感覚が少し衰えてしまっていたのかもしれない。
 勘を取り戻すためにも、いい機会だと私は気持ちを切り替えた。



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