捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 翌日、午後一番で私とアレスは竜王様の執務室へ呼び出された。

 ドラゴンの浮き彫りが施された漆黒の扉を開くと、事務官を務める竜人たちと竜王様が書類を次から次へと捌いている。タイミングが悪かったかと思ったけれど、指定された時間通りだった。

「ああ、呼び出したのに悪いね。ちょっと急な案件が入っちゃって仕事が押したんだ。すぐに終わらせるから、そこのソファーで待っててくれる?」

 竜王様がテキパキと書類を片付けるのを見ていると、アステル王国のことを思い出す。王太子の政務も王妃の政務も、魔道具の開発もこなしてきた。
 あの時は効率的にこなすことに重点を置いていたから、処理の進め方がつい気になってしまう。

「あの、少々よろしいでしょうか?」
「うん? なんだい?」
「これらの処理は担当が決まってないのですか?」
「そうだね、僕が処理したものを手の空いてる事務官に渡しているんだけど……それがどうかしたのかな?」

 やはりそうだった。それではどんな案件が来ても対応しなければならないから、事務官の負担が大きい。
 竜人はもともと優秀な種族だから問題なくこなせるだろうけど、早く処理できた方がお互いのためになりそうだ。

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