捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
「ロザリア様、オースティン伯爵領につきましたら、まずは販路についてご相談ください。条件の折り合いが悪い場合は私が間に入ります」
「ええ、お願いします」

 そんなストレスフルな旅路を進み、やっとオースティン伯爵領についたのは三日後のことだった。



「ハイレット皇太子殿下、セラフィーナ皇女殿下、ようこそいらっしゃいました。アレス王太子殿下とロザリア妃殿下におかれましては初めてお会いいたします。この伯爵領を治めておりますダニエル・オースティンと申します」

 初老のオースティン伯爵は快く私たちを迎え入れてくれた。
 紳士的な振る舞いで誠実そうなオースティン伯爵は、長旅で疲れただろうと個別に部屋を用意してくれたので、夕食まではゆっくりと休むことにした。

 馬車の中での精神的な疲労が半端なかった私は、ひとりの時間に心からホッとする。荷物の片付けなんて後にして、アレスの淹れてくれたお茶を飲みほしてベッドにダイブした。

「はあああ……つ、疲れたわ……っ!」

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