捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 アレスの纏う空気が変わり、鋭利な空気が肌に突き刺さる。このままでは壮絶な親子喧嘩が勃発しそうだ。

「いや、だって僕だってもっとロザリアちゃんと話したり、義娘(むすめ)としてかわいがったりしたいんだよ!」
「父上、それは俺が許可しません」
「は!? なんでアレスの許可がいるんだ? これでも僕は竜王なんだけど!?」
「竜王だろうが神様だろうが、俺のロザリアは俺だけのものです」
「アレスがひどい……ただ義娘と仲良くしたいだけなのに……!」
「どんな生き物でも雄である限り許可できません」

 アレスの強烈な独占欲が嬉しくて、仲裁に入るタイミングを逃してしまった。
 私も竜人となったから、アレスの気持ちはよくわかる。唯一無二の相手である番を、他の異性のもとへ置いておくことなど許せない。
 だけどそれでも王命を下さないのが、竜王様らしいし義父として尊敬できるところだ。

「そんなことより、早く終わらせてお嬢様の話を聞いてください」
「そんなことって……どんどん僕の扱いが雑になってるよね?」
「竜王様、よろしければ私もお手伝いいたします」

 笑いをこらえて、竜王様に提案した。とにかく今処理している仕事が終わらないと、話ができそうにない。

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