捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 翌朝になって、セラフィーナは早朝に転移の魔道具を使って皇城へと戻っていった。セラフィーナのことは朝食の席でロザリアたちに切り出した。

「ロザリア様、セラフィーナについてお話があります。実は新たに縁談が舞い込みまして、皇城へ戻ることになりました」
「え? ですが昨日は……」

 ロザリアが怪訝な様子で私に視線を向ける。あくまでも予定ではあるが、嘘ではない。
 しかしロザリアが疑うのも無理はない。昨日はロザリアを私の妻にして、セラフィーナをアレスに嫁がせたらいいと話したばかりなのだ。なにか裏があると思うのが普通だろう。

「はい、こちらにも事情がありまして、より帝国が発展する相手に嫁ぐよう父から知らせが届いたのです。まあ、皇族ですから結婚相手は自由になるわけではありませんので」
「そうですね……セラフィーナ様のことお察しいたします。どうかお幸せになりますよう心から祈っています」

 ロザリアは突然姿を消したセラフィーナに同情しているようだ。アステル王国では不遇だったと聞いているから、自分に重ねたのかもしれない。

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