夕日みたいな君と,時間を忘れて手を繋ぐ。
1章 星が煌めく,海と夜の間。
第2話 抜け出したい闇の向こうに君がいた。
「や! 久しぶり~ぃ!」
駆けてきてパッと目の前に現れたのは,もう来ない気すらし始めていた新たな夜。
神出鬼没な彼女が躍動感まで備え付けてしまえば,それはもう幽霊を見たのと変わらないほど驚いてしまうもの。
「っ。今日も,同じ服なんだね」
不覚にも,"彼女がここに来たこと"へ目を丸くしてしまった俺は目につくそれを指摘した。
パーカーに広がりやすいロングスカート。
どちらも正確な色は分からないけど,ピンクかグレー。
「だあって。その方が君の印象,記憶に残りやすいでしょ? 私は本気で君の星になろうと思ってるのに」
空いた時間を無かったものにするかのように,その人は気安く拗ねて見せた。
まだ出会って2ヶ月経たない程度だけど。
俺はその人を忘れないような気がしている。
ぼうと彼女の姿を目に焼き付けていると,彼女は初めて,ブランコ以外の遊具へ向かった。
「滑り台はお尻はまっちゃうかな。ううん,大丈夫だよね」
なんてうんうん頷きながら,何故か鉄棒の方へ向かったその人は。
突然ぐるりと1周回る。
「ちょっ見え」