夕日みたいな君と,時間を忘れて手を繋ぐ。
第4話 きっと私だけに出来ること。
ーーーーー"彼女"sideーーーー
この場所にたどり着くまで,君には会わないと1人で決めて。
日中を使って歩き回って。
ひたすらに探しながら,見つけてしまうのがほんのすこし怖くて。
ついに見つけた場所に,車が1つもないのを見たとき。
1番都合が良かったのに,心臓がどきどきと逸って。
だけど,なんでかな。
頭がボサボサの君を見たら,勇気が沸いてきた。
『や,おはよ』
そんな言葉でしか,自分の小心者な気持ちを隠せなかったけど。
どれだけ小さくてもいいから,どんな夜も私に会いに来る君に,幸せなおやすみもあげたいと思った。
迷いを振りきって,突き飛ばすつもりで乱入して。
駆け上がる階段は,気を抜けば堕ちて壊れる私の心みたいだった。
名札なんて掛かってなかった3つの扉。
だけどどうしてか,ちっとも迷わなかったよ。
入った先はきっとアタリで,何かが私の土踏まずに刺さってちょっぴり痛かった。