夕日みたいな君と,時間を忘れて手を繋ぐ。
2階の窓を開け,1階から飛び出た屋根に降り。

それから出来るだけ慎重に,静まった夜へ音を立てないように,飛び降りる。

そこからはゆっくり歩き始め,またあの公園に行く。

そんな日々が,続いた。

毎日ではない。

今まで通り,気が向いたときにふと向かえば,その前後で彼女は必ずやって来る。



『もしかして,毎日来てるの?』



そう尋ねれば



『さてどうでしょう』



その人はまたはぐらかすように人差し指を立てる。

その答えに頷いて,その日から俺は何も言わないまま毎日公園に行くようになった。

リスキーだと分かっていながら,それをやめようとは思わなくて。

いつしか目的まで,星から彼女に変わってしまっていた。

とてもマイペースな彼女はまず,公園へ来ると必ず立ってブランコを漕ぐ。

俺には目もくれず,ただ1人黙ったまま。

そしてふと思い付いたように俺へと笑いかけ,何かしらの話題を振ってくるのだ。

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