† of Sword~剣の粛正
二章
†
どうやら、一週間ほど昏睡状態だったらしい。
目が覚めた私のもとへ、父も母も、血相を変えてやって来てくれた。
サラリーマンの父と、専業主婦の母。一流ではなくても、生活に困らない家柄。そして、仕事や家事を放り出して駆けつけてくれる両親。
私は、恵まれた家に生まれたのだと、こんな時、特に実感できる。
体調を整えるため、という理由で、もう二、三日入院してもらうと、医師から話を聞いた。
一緒に、私がどうなったのかも話してもらった。
なんでも、バスが事故を起こしたらしい。
運転手が昏倒し、車道を逸脱。ガードレールを乗り越えて歩道橋に突っ込み、横転したそうだ。
私と同じバスに乗っていた乗客は、みな死んだらしい。私一人が、ほぼ無傷ながら、気絶した状態で発見された。
奇跡だ。
私は不躾ながら、訊ねてみた。
「死亡者の中に、大学生くらいの人はいましたか?」
答えは、NOだった。発見されたのはサラリーマン風の男と老婆、厚化粧の女と運転手、そして私だけ。
バスの中に、大学生風の男は、いなかったそうだ。
私は、確かに彼を見ていたにもかかわらず。
どうやら、一週間ほど昏睡状態だったらしい。
目が覚めた私のもとへ、父も母も、血相を変えてやって来てくれた。
サラリーマンの父と、専業主婦の母。一流ではなくても、生活に困らない家柄。そして、仕事や家事を放り出して駆けつけてくれる両親。
私は、恵まれた家に生まれたのだと、こんな時、特に実感できる。
体調を整えるため、という理由で、もう二、三日入院してもらうと、医師から話を聞いた。
一緒に、私がどうなったのかも話してもらった。
なんでも、バスが事故を起こしたらしい。
運転手が昏倒し、車道を逸脱。ガードレールを乗り越えて歩道橋に突っ込み、横転したそうだ。
私と同じバスに乗っていた乗客は、みな死んだらしい。私一人が、ほぼ無傷ながら、気絶した状態で発見された。
奇跡だ。
私は不躾ながら、訊ねてみた。
「死亡者の中に、大学生くらいの人はいましたか?」
答えは、NOだった。発見されたのはサラリーマン風の男と老婆、厚化粧の女と運転手、そして私だけ。
バスの中に、大学生風の男は、いなかったそうだ。
私は、確かに彼を見ていたにもかかわらず。