† of Sword~剣の粛正
メガネをかけていた私が、今は、メガネをかけずにものを見ている。私の両親が、なによりそれを不審に見た。

なぜ、この子はメガネなしにものを見ているのだろう。

その眼差しはどこか、私という存在を否定しているように思えた。

この子は、目が覚めてから別人になってしまったのではないだろうか。

本当はとっくに死んでいて、ここにいるのは、私の皮を被った偽者ではあるまいか。

目が覚めた時、なにかおかしなものが混雑してしまったんじゃないだろうか。

そんな疑いを持たれているように、錯覚する。いや、錯覚ですんでいるだろうか。

少なくとも、お父さん、そしてお母さんにどれだけ悪いと思おうが、私はすでに死んでいる。

今こうして生きているのが不思議だと、自覚していた。よくも、私は生きている。

さらにいえば、今ここにいる私は、私でありながら、いくらかの要素が省略され、いくらかの要素が加算されているに違いない。

そのもっともわかりやすいものが、視力。
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