† of Sword~剣の粛正
「嘘はね、誰もが抱えている秘密だよ。隠し事、秘め事。人に知られたくないものや、知らせたくないもの。人間は嘘の常用者さ。動物は擬態こそすれ、嘘はつかない。けど、人間は嘘をつく。需要が高いのは擬態より嘘さ。他人を理解するために嘘を用い、他人を守るために嘘を使う。
けれど、真実を理解した君には、それが通用しない。最初から、これは嘘だと知っている人に嘘は通じないだろう? だから人の気持ちの真実が見えてしまう。それは恐ろしくないかい?」
「特には」
「うん、若い意見だね。でも、そのメガネは持っておいたほうがいい。君にはきっと必要だ」
見えない彼の足音が、また移動する。ぎしりと音がして、椅子に座ったのだとわかった。
本が勝手に浮かび上がる。メガネを外して確認すると、ただ彼が本を手にしただけだった。
「へえ、ファンタジーか。いいね、想像力を掻き立てられる。僕はあまり物語に興味はないのだけど、本は好きだよ。いや、紙が好きなのかな。うん、いや、きっと文字を読むという行為が好きなんだろうね、うん」
不思議なことを言う人だ。その意味と意義の違いは、いったいなんなんだろう。
けれど、真実を理解した君には、それが通用しない。最初から、これは嘘だと知っている人に嘘は通じないだろう? だから人の気持ちの真実が見えてしまう。それは恐ろしくないかい?」
「特には」
「うん、若い意見だね。でも、そのメガネは持っておいたほうがいい。君にはきっと必要だ」
見えない彼の足音が、また移動する。ぎしりと音がして、椅子に座ったのだとわかった。
本が勝手に浮かび上がる。メガネを外して確認すると、ただ彼が本を手にしただけだった。
「へえ、ファンタジーか。いいね、想像力を掻き立てられる。僕はあまり物語に興味はないのだけど、本は好きだよ。いや、紙が好きなのかな。うん、いや、きっと文字を読むという行為が好きなんだろうね、うん」
不思議なことを言う人だ。その意味と意義の違いは、いったいなんなんだろう。