† of Sword~剣の粛正
「それは顔に出やすいからだよ。今だってそうだ。なぜこの人はわかるんだろう? という顔をしてる。それを、必死の嘘で取り繕ってるのさ。ポーカーフェイスでね。あ、ほら、嘘は需要が高いだろ? 君も無意識のうちに使用してる要素だよ」

「……話の根幹はなんですか」

どことなく、あしらわれているような気がする。

彼はこくりと頷いた。

「うん、世界は大きなものだと定義できた。理解もね。そして、覚えているかな、僕がこないだ言ったこと。人間を殺す、あるいは死亡させるっていうのは、世界の影響力をもってしても、いろんな運命に基づいて実行されるってさ」

「覚えてます」

本を読む成果、記憶力はいいほうだから。

「上出来だね。じゃあ、世界ですら死を与えることに一苦労する人間を、誰かがあっさりと、次から次へ消してしまった場合、いったいどんなことが起こると思う?」

「また質問ですか」

「君は頭がいいからね。あえて質問してる」

あしらわれている……が、同時に、きちんと評価されているのだろう。

その澄みきったゼラチン眼球には、きちんと私が映っていた。
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