† of Sword~剣の粛正
「私も、結果ばかりを与えられたんですか?」

「おっ、察しがいいね、その通り。君は死んだ。死を享受するいとまを与えられることなく死んだ。つまり君に起こったのは、死という結果だけだ。

この世にある死は、すべてが殺人さ。病は人を殺すし、事故も人を殺すし、人間も人を殺す。ところが君は、人に、あるいは現象によって殺されるという過程を踏まえなかった。

いや、引き金という部分だけ見れば、君の死因もまた殺人だよ。だけど、その過程は世界に認識されていないし、人も知覚していない。

過程によって証明されていない死を、君は生存するための証明で塗りつぶした。死んだことを理解しなければ、死ぬことはない。

極論だけど、式の転換さ。だから生きている。理解はできるよね」

「……漠然と」

「上出来だよ。頼もしいね」

これでも名の知れた進学校を受験しようと思っているのだから、頭の回転に少なからず自信はあった。

彼はそれを笑顔で肯定してくれる。

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