† of Sword~剣の粛正
立ち上がった彼が、右手を上向けて、握ったり、開いたりする。
「理解を重ねた君なら、今また、それを見ることができると思う。それは君の心、そのものだ。嘘をつかずに、それと対面すれば、君は必ず僕の要求を呑んでくれる。期待してるよ」
と、その顔がドアのほうへ向いた。苦笑が浮かぶ。
「ああ、人が来たね。それじゃあ僕はおいとましようかな。それじゃあまた、運命が来る時に」
言い終わるが早いか遅いか、カートがカラカラと音を立てて近づいてくるのが聞こえた。
彼の姿が、真実を見る裸眼のままなのに、少しずつ掻き消えていく。手足の先が透明になり、徐々にその胴、そして頭が。
向こう側が透けて見える彼に、問うた。
「もし私がやらない、と言ったらどうするんですか」
「それはないよ」
と、ほのかに残った口だけが断言する。
「必ずやりとげるはずだ。それが君の存在定義。いや、それでなくても君は、そうするしかないと、もう運命付けられている」
「そんなことは、」
「『嘘』は、認められないんだよ」
「理解を重ねた君なら、今また、それを見ることができると思う。それは君の心、そのものだ。嘘をつかずに、それと対面すれば、君は必ず僕の要求を呑んでくれる。期待してるよ」
と、その顔がドアのほうへ向いた。苦笑が浮かぶ。
「ああ、人が来たね。それじゃあ僕はおいとましようかな。それじゃあまた、運命が来る時に」
言い終わるが早いか遅いか、カートがカラカラと音を立てて近づいてくるのが聞こえた。
彼の姿が、真実を見る裸眼のままなのに、少しずつ掻き消えていく。手足の先が透明になり、徐々にその胴、そして頭が。
向こう側が透けて見える彼に、問うた。
「もし私がやらない、と言ったらどうするんですか」
「それはないよ」
と、ほのかに残った口だけが断言する。
「必ずやりとげるはずだ。それが君の存在定義。いや、それでなくても君は、そうするしかないと、もう運命付けられている」
「そんなことは、」
「『嘘』は、認められないんだよ」