† of Ｓword～剣の粛正

コツン、コツン、コツンと、革靴だろうかが、固い床を踏む音が響く。

「今君は、再構築中だからね。見た目は完成していても、存在が定義、証明されてない。満足に活動できるようになるのは、もう少し先かな」

……。

「うーん、そうだね、十秒先か明日になるか、一週間か一ヶ月か一年か……そこは君の気力なんだけどね。あるいは、確認、という公式にもよるかな。ひとはね、どんな動物よりも、今ここにあるっていう確認が下手くそだから」

この人は、なにを言っているんだろう。再構築……それもまた、なんのことなのか。

そもそも、死んだという私が私を知覚できるのもおかしい。ということは、彼が言った『死』はなにかの比喩だろうか。

いやそれとも、私はそもそも死んでなどいないのか。いやいやまさかひょっとすると、ここはとうに死後の世界ではないだろうか。

そう、だからあのバスはひょっとしなくても、地獄へ通じていたのかもしれない。

様々な憶測は、そして結局、浮沈を繰り返す。ただの蒙昧か。