† of Sword~剣の粛正
コツン、

「あ、そうだ、訊いておきたいことがあるんだけど、いいかな」

コツン、

「今から僕が言う言葉を、よく聞いてほしい。いいかな? 言うよ? †……さて、どうかな?」

コツン、

「僕の言った言葉がちゃんと君には聞き取れたかな? もしも聞き取れていたなら、たとえ声は出なくても、発生を試みてよ」

コツン、と、彼の靴音。どうやら、私を観察しながら寝台の回りをぐるぐると、飽きもせず歩いているらしい。

「聞こえてるかな? もう一度言うよ。†……。今の言葉、君は聞こえたかな?」

……、聞こえた。うなずきたいところだけど、指先すら動かすことができない。こんな状態で応答しろというのが、土台無理だ。

それなのに、彼はどこか、満足したようだった。足のほうに行ってしまって見えない彼が、頷く気配。

「そうか、聞こえたんだね」

それはまるで、私の『意思』を汲み取ったようだった。
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