† of Sword~剣の粛正
「……今度は、なにを省略して、なにを加算したんでしょうね」
「さあ。少なくとも、もう心は凪いでないだろう?」
心音が、聞こえる。どくん、どくんと。
「――そうですね」
この時、私は本当に理解した。
私が殺したかったのはもしかすると、あの男でも私自身でもなく、凪いだ心だったのかもしれないと。
「ああそうだ」
と、彼が思い出したように、人差し指を立てる。
「いいことを教えてあげるよ。君が掴んだのは剣だろう。剣はね、タロットでは正義を意味するんだ。自信をもっていい。君は罪を背負っても、悪じゃない」
こんな私を元気付けようとしてくれているのだろう。
静かに、ありがとうございます、と私は言った。
嘘は、つかなかった。
72
「さあ。少なくとも、もう心は凪いでないだろう?」
心音が、聞こえる。どくん、どくんと。
「――そうですね」
この時、私は本当に理解した。
私が殺したかったのはもしかすると、あの男でも私自身でもなく、凪いだ心だったのかもしれないと。
「ああそうだ」
と、彼が思い出したように、人差し指を立てる。
「いいことを教えてあげるよ。君が掴んだのは剣だろう。剣はね、タロットでは正義を意味するんだ。自信をもっていい。君は罪を背負っても、悪じゃない」
こんな私を元気付けようとしてくれているのだろう。
静かに、ありがとうございます、と私は言った。
嘘は、つかなかった。
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