† of Sword~剣の粛正
「さっきはどこまで話したかな。そうそう、死とは活動だってところまでだね」

コツン。コツン。彼の声は、足を通りすぎ、右側に移ってくる。

「人間は知覚することのできない死を活動とは言わない。当事者以外は特に、停止、と認識するだろうね。けども、死する人間は自分の活動が生の境界から逸脱してしまうことのみ、理解する。この場合、どういった心理に至ると思う?」

「どう、って……」

「あくまでイメージだよ」

「……テレビの、砂嵐のような……」

「へぇ、テレビか……うんなるほど、わかりやすいイメージだ。理解力がいいね。そういう人は好きだよ」

ふざけてなのか真面目なのか、頭のほうへ歩いていった彼が、私のひたいを撫でた。冷たい手だ。

「砂嵐の画面、人間は〝テレビがついてる〟とは言わない。けども、〝電源はついてる〟。人間の死とは本来あくまで、この〝電源はついてる〟だけの状態でね、電源は魂と換言できるのさ。

輪廻転生の理論は知っているかな? そう捉えるとわかりやすいだろうね。電源がついているから、魂は転生活動を行えるっていう理論さ。もしも電源すらないのなら、魂は活動をしない。それは死ではなく消滅さ」

消滅……
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