† of Sword~剣の粛正
「そう、たとえば、事故死する運命。病死する運命。突然死する運命。あるいは、殺害される運命。すべてはあらかじめ用意された、予定の突然というわけ。ただ、世界は完璧ではなくてね、予定は未定なんてよく言ったものさ。世界の規格は加害者側でも、被害者側でも、ずれてしまうことがある」

「予定が狂うのは、偶然? それとも必然?」

「そこは不確定さ。人は起こった事柄についての情報量によって、それが偶然であるか、必然であるか定義するからね。

それで、だ。話を戻そう。知覚許容を超えてしまった死を、人間は否定する。いや、理解できないがゆえに、死という活動を開始できない。

それはつまり、死への抵抗だよ。死に抗う人間の意思が、そうして死以上のもの――†を認識した時、変異が発生する。死とは違うゼロを知覚し、その膨大さに呆然とし、ちょうど君のように、自らの存在定義を掌握し直して、再構築に及ぶのさ」
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