† of Sword~剣の粛正
言い終わる頃にはもう、彼はまた、私の頭のほうへ来ていた。

三度目か、何度目か、

「それじゃあこの話から、今の状況を君は、どう解釈するかな?」

彼が逆さまに覗き込んでくる。

質問をされても、やっぱり、私の心を凪いでいた。

凪いでいるからこそ、あまりにも静かに、唇が開閉する。

「私は死んだことを、理解できなかった。代わりに†を知った。だから生きて、ここにいる」

彼が、満足そうにひとつ、頷く。

「そう。やはり君は理解力にたけるね。僕は心から、君を祝福したいよ」

まぶたの上で、ひさしを作るようにして、手が置かれた。

優しい声が、降ってくる。

「それじゃあ、そろそろ目を覚ましてごらん。君ならもう、心身ともに構築できたんじゃないかな? そして現実で、本当に逢い見えよう。大丈夫、君の存在を、僕はもう覚えたから。近いうちにきっと、また逢おう」

また彼はいったい、なにを言っているのだろう。

思って、目を開いた私は――
< 46 / 75 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop