† of Sword~剣の粛正
三章
第一節
†
夜になった。
窓の外は相変わらず雨が降っている。
本を読むために電気をつけているので、窓の中には、白々とした明かりが反射していた。
凝視すれば、水滴のひとつひとつに白い電球が映り込んでいるし、本を開く私もいる。
裸眼でそれを認識できる私の視力は、いったいどれほどだろう。
回復というレベルではなく、本当に、視力が加算されていた。2・0を軽く超えているかもしれない。少し異常だ。
もう、零時もとうに過ぎてしまっていることだろう。窓の外に広がっている街並みには時々、車のフロントランプが金に、テールランプが赤に光るばかりだ。
雨が降っているものの、それはとても小粒で、昼間のように些細なリズムも聞こえない。
世界は、あまりに静か。
恐らくでしかないが、ナースステーションで待機している看護師たちも今ごろ、あくびでもしているのではないだろうか。
つまらないことを思いながら、背表紙に添付されている紐を挟み、本を閉じる。
ぽたん、という、小気味のいい音が鳴った。
夜になった。
窓の外は相変わらず雨が降っている。
本を読むために電気をつけているので、窓の中には、白々とした明かりが反射していた。
凝視すれば、水滴のひとつひとつに白い電球が映り込んでいるし、本を開く私もいる。
裸眼でそれを認識できる私の視力は、いったいどれほどだろう。
回復というレベルではなく、本当に、視力が加算されていた。2・0を軽く超えているかもしれない。少し異常だ。
もう、零時もとうに過ぎてしまっていることだろう。窓の外に広がっている街並みには時々、車のフロントランプが金に、テールランプが赤に光るばかりだ。
雨が降っているものの、それはとても小粒で、昼間のように些細なリズムも聞こえない。
世界は、あまりに静か。
恐らくでしかないが、ナースステーションで待機している看護師たちも今ごろ、あくびでもしているのではないだろうか。
つまらないことを思いながら、背表紙に添付されている紐を挟み、本を閉じる。
ぽたん、という、小気味のいい音が鳴った。