† of Sword~剣の粛正
がらりと、病室のドアが開いた。入ってきたのは、父でも母でも、看護師でもましてや、あの名前も知らない彼でもない。
ヘッドフォンを首にかけた、あの、大学生風の男。
たったひとり――あのバスの中にいながらにしてたったひとり、その存在を確認できなかった男。
私を死に追いやった人物。
チャカチャカと、耳障りな音漏れがヘッドフォンから聞こえる。間違いなかった。
がっしりしている体育会系というよりも、不健康で痩躯、三次元より二次元に心開いていそうに見える。
大学生風である以前に、いわゆるオタクのような男だ。服装や髪型に、センスというものが見受けられない。チャカチャカ。
右手を、握りしめる。そこには見えないながら、掴めるものがある。掴んだものがある。
男が、口角を吊り上げた。チャカチャカ。嘲笑うような、あるいは、身悶えしているような。
ヘッドフォンを首にかけた、あの、大学生風の男。
たったひとり――あのバスの中にいながらにしてたったひとり、その存在を確認できなかった男。
私を死に追いやった人物。
チャカチャカと、耳障りな音漏れがヘッドフォンから聞こえる。間違いなかった。
がっしりしている体育会系というよりも、不健康で痩躯、三次元より二次元に心開いていそうに見える。
大学生風である以前に、いわゆるオタクのような男だ。服装や髪型に、センスというものが見受けられない。チャカチャカ。
右手を、握りしめる。そこには見えないながら、掴めるものがある。掴んだものがある。
男が、口角を吊り上げた。チャカチャカ。嘲笑うような、あるいは、身悶えしているような。