† of Sword~剣の粛正
「なんでお前、生きてるんだ? 俺の式は完璧だったはずだ……。なんでお前、生きてるんだ?」

意味がわからないから、答えてやらない。なんでもなにもない。

チャカチャカ。

生きているものは生きている。

あえて、それでもそれでも、答えろというのなら、

「私は死ななかった」

それが事実だった。

「†を理解して、私は私の定義を証明し直しただけらしいです」

「は?」

「定義を構築して、不必要を省き、必要を加算して、私は†を掴んだそうです。自分を証明するための†が、今は私を定義しています」

「……なに言ってんだ、お前。さっきからところどころ、わけのわからん言葉を……」

ずざ、ずざ、と安っぽいスニーカーが床を擦る音が聞こえる。男は、私のすぐ真横に立った。

膝の上に本を乗せているだけの少女だと思って、油断しているのだろう。事実そうだが、実際は違う。
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