† of Sword~剣の粛正
「私は、殺されるんですか、アナタに」

「ああ、俺が今度こそ、きっちりお前を分解してやるよ」

私の脳天を、男が指差した。

「へ、安心しな。この一週間で俺はずいぶん慣れてきた。こないだみてぇに第四節まで待たしやしねえよ。第二節に入ったら、すぐだ」

「……言っている意味がわかりません」

「わからなくていいんだよ。俺の崇高な実験のために、今度こそ死ね? もうおふざけでも生き返るんじゃねぇよ?」

だからまた、私を殺そうというのか。

雪になりきれなかった冷たい雨が降った日のように。

そんなもの、許せない。

決断から行動までは、

「ふざけてるのは、アナタです」

一瞬だった。

本当に一瞬で、私は右手をまっすぐ男へ突き出した。

その手には、黒い柄、黒い鍔、黒い刃の、黒い剣。

経ったさっきまではなかった、しかし今は握っている、剣。

それは、ベッドから手を引き抜いた時にはまだなくて、腕が伸びきった瞬間にこそ、顕現した。
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