† of Sword~剣の粛正
そして私の目は――真実を理解する視力は、
「じゃあ死ね!」
びたりと差された指先から、真っ黒い矢のようなものが飛び出すのを、見た。
それが、あの時バスの中ではわからなかった『死』だと理解するのは、難しくなかった。
が、
「弱いね」
パチン。と、蜂が窓ガラスに当たったような音を立てて、それは彼の対面で弾けてしまった。
あれだけ叫んで、指だけを突き出した男が、間抜けに見える。
私も彼も男も、数秒、ただ棒立ちになっていた。
それは、あまりに静か。
やがて、彼は首を横に振った。
「君さ、人の話を聞こうね。言ったよ? 教会の者に君程度の結界が通用するか、って。それってつまり、僕のほうが君より強力な結界を張れるっていう隠喩だろう?」
「……っ」
「結界には最低でも三種類。壁と、隠れ蓑と、その両方。今のはただの壁だけどね……ちょっと強く張りすぎたみたいだ。君にはもったいない。生身でもよかったぐらいだね」
「お、ま、え……っ!」
「じゃあ死ね!」
びたりと差された指先から、真っ黒い矢のようなものが飛び出すのを、見た。
それが、あの時バスの中ではわからなかった『死』だと理解するのは、難しくなかった。
が、
「弱いね」
パチン。と、蜂が窓ガラスに当たったような音を立てて、それは彼の対面で弾けてしまった。
あれだけ叫んで、指だけを突き出した男が、間抜けに見える。
私も彼も男も、数秒、ただ棒立ちになっていた。
それは、あまりに静か。
やがて、彼は首を横に振った。
「君さ、人の話を聞こうね。言ったよ? 教会の者に君程度の結界が通用するか、って。それってつまり、僕のほうが君より強力な結界を張れるっていう隠喩だろう?」
「……っ」
「結界には最低でも三種類。壁と、隠れ蓑と、その両方。今のはただの壁だけどね……ちょっと強く張りすぎたみたいだ。君にはもったいない。生身でもよかったぐらいだね」
「お、ま、え……っ!」