† of Sword~剣の粛正
「っ、お前みたいなガキまで……俺をバカにするのか……?」

「いいえ。バカにするほど、相手にしてません」

「殺す――!」

瞬間、男が右手を拳銃のように構えた。その人指し指から、また黒い矢が飛ぶのを見る。

とっさに真横へ避けた私は、

「!? づっ」

飛びすぎて、壁に体をぶつけた。体が嘘のように軽い。そうか、私は怪力じゃなくこういう『身体能力』を加算していたのか。

「バカが!」

即座に男が指を向けてくる。

黒い矢が飛来。

慌てて傾けた首のすぐ左に、ガッ、とそれは突き立った。

一瞬、息をのんで、走る。

こっちは剣を持っているんだ。近づいて、体当たりして、そのまま突き立ててやれば、殺せる!

「なんだ、猪突猛進かよ、ははっ!」

余裕でも得たのか、笑った男の指から黒い矢。

それが、

「死ね死ね死ね死ね死ねぇっっ!!」

「!?」

連射された。

死を奏でる矢の掃射が、チャカチャカと。


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