† of Sword~剣の粛正
「気をつけてね」

と、彼が私の肩を叩く。少し腰を屈めて、耳元に口を近づけてきた。

「ずっと同じ音楽を聞いていると覚えられるだろう? アカペラでも歌えるようになる。つまり彼は、今聞いている音楽――つまり例の魔術をある程度、頭の中に取り込んでしまってる。脳に記憶したメロディーはいつでも紡げるように、魔術も簡易発動させられる」

そうか。それじゃあ、第四節とか第二節とか言っていた本当の意味は、そこまで脳内保管ができている、という意味か。

「だからさっきの連射ができたんですね」

「ご名答。手数でこられたら、君だって、ね」

「大丈夫です」

そして私は、剣を手に走り出した。

相手が連射するのなら、私も連続でいけばいい。

男の顔が、私と一騎討ちであることに――いや、確実に、私を殺すという目的に縛られて、嘲笑に歪む。

「ひひゃはははっ、また突っ込んできたな!」

剣が一本だなんて誰が決めたのだろう。

「今度こそ、今度こそ今度こそ!」

私の剣は、私が必要だから生み出した、私の意思だ。

それが一本だなんて誰が決めたのだろう。
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