† of Sword~剣の粛正
距離が近づく。

だから加算しよう。私は、一本じゃ足りない。

もっとたくさんの剣を生み出すんだ、私。

男が指差してくる。両手で、銃を作るように。

「死っっ、ねぇぇぇえええ!!」

そして、黒い矢の吹雪。

だけど、だけどだけどだけどだけど、そんなもの……

「否定してやる!!」

叫んで、疾走の勢いにのせて、真横に剣を振り抜く。


チャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカ!! と、大量の矢が弾き飛ばされる。

一振りした剣の軌道上、残像が形を持ったように現れた、更なる剣によって。

手元のものと合わせて、十本。

九つのさらなる『必要』が、宙に浮いて、加算されていた。

「なんだよそれ、なんなんだよそれ――ぇ!!」

悲鳴なのか怒声なのか、耳障りな叫び声をあげながら頭を抱えた男に、ひとつ。

「粛正の時です」

告げた。

再び突進へ踏み出すと、男がびくりと肩を震わせる。

その時に漏れた情けない声は、今度こそ、悲鳴だった。
< 69 / 75 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop