転生公爵令嬢のイチオシ!
「レ、レイ様」

「メリアーナ」

キラキラはまだ健在でした!
レイ様が差し出してくれた手にまたちょこんと自分の手を乗せる。

「本当に可愛いね」

手を優しく握ってレイ様は微笑む。
可愛いプラス色気!!
また私は真っ赤になった。

「ストライブ様、もう少し手加減してあげてくださいね」

里英ちゃん!ありがとう!

「…今はそんな余裕なんてないよ。ライバルは多いから」

レイ様の余裕?
何の?
こんなに攻撃力高いのに?

「ではあちらに行こうか、メリアーナ」

そのあとは、いろんな人に『仲が良いのね』『お似合いね』なんて言われた。

しばらくして、お父様達の所へ行き家族で王家の方々にご挨拶をした。
そのあいだお兄様は私にベッタリで、「大丈夫か?」と何度も聞かれた。
…いえ、大丈夫ではありません。

そして、またレイ様と一緒になり、美味しいお菓子を取って来てくれたり、見事なお花が咲いている庭園に連れて行ってくれた。

「可愛い薔薇…」

この国では季節を問わず綺麗に咲く薔薇もある。
オーディエンスが少ない場所だと緊張が少しとれてきた。
レイ様が上着を掛けてくれて、アーチ状の薔薇の下を潜りながら歩く。

庭園のガゼボにふたりで座った。
例によってハンカチを敷いてくれる。

しばらく庭園を眺めていたけど、言葉がなくてもこの沈黙は落ち着くわ。
今は攻撃されてないから?

「今日は本当にありがとう、メリアーナ」

「え…?」

真剣な表情にまたドキリとする。

「君と一緒に過ごせて、君を独占することができて本当に幸せだった」

「…」

「パートナーに選んでもらえて夢のようだったよ」

やっと落ち着いてきたのにドキドキが!
どうしよう!!

「これからも君を名前で呼んでいい?」

レイ様の真剣な顔を見てると胸が痛い。

「あ…」

どうしよう。
苦しくて。

「私のこともレイと、このまま」

今日何度も見たレイ様の大人びた真剣な顔。
何度も繋いだ手。
そして、今も。
レイ様の手から気持ちが伝わってくるみたい。

「……は、はい」

甘い痛みが苦しい…。
こんな気持ち、ずっと昔にも…。


涙がポロリと零れた。


遠くからダンスの音楽が聞こえてきていた。


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