転生公爵令嬢のイチオシ!

講堂Aに着き入口前で予約席チケットを見せる為の列に並んだ。
学園祭は生徒の身内や知り合いも来ているので並んでいる人達も多い。
レイ様のお友達のヴァリテ様がチケットを受け取る係の列だった。

「メリアーナ嬢!」

「ヴァリテ様。もう始まるのではないのですか?」

ヴァリテ様もタキシード姿だ。

「私はまだなんだ。だから今はチケット係」

パチッとウィンクをした。
そんな仕草も様になるわ。
ヴァリテ様もご令嬢方に人気のようだ。
チケットを渡す時や近くを通るご令嬢がチラチラとヴァリテ様を見て頬を赤く染めている。

「席はすぐに分かるよ!」

「そうなんですね。ありがとうございます」

なんかニヤニヤされたような?

座席番号付近にたどり着いた。

「レイ様…」

講堂Aの予約席、私の番号席には赤い薔薇の花束が置いてあった。
薔薇は5本でラッピングされていて可愛いリボン付きだ。

「予約席のチケットに座席番号が記入されてるから分かるのにねぇ」

早苗様が感心しながらも苦笑している。

「マメな人ねぇ」

入口で貰ったパンフレットを見てる里英ちゃん。

教室前で抱きしめられたことを思い出して、花束を抱えてまたドキドキした。

徐々に講堂の中が暗くなった。
そろそろだ!
あっ!レイ様が出てきたわ!

そして演奏が始まった。
え?これが素人なの?っていうくらい本格的!
さすが貴族が通う学園ね。
小さな頃から楽器を嗜んでいるのね。
私は苦手で小さい頃に挫折してしまったけど。

レイ様は前の方にいらっしゃるわ!
演奏姿が様になってる!
レイ様とヴァイオリン!
普段は可愛いのに今日はまた違う魅力が溢れているわ。
ホゥッとため息が出る。

あっ!ソロ演奏もあるのね。
各楽器毎に順番でソロで演奏するみたい。
皆様とてもお上手だわ!

ええ!?レイ様にスポットライトが!!
次はレイ様がソロ演奏するのね!

シンとする会場にヴァイオリンの音色が拡がる。
レイ様の表情を見て、レイ様の奏でる音を聴いていたら、なんだか切ない気持ちになった。

「綺麗な曲…」

素敵な音色が心に響く。
薔薇を胸の前で手に持ち、レイ様に見惚れる。
ソロ演奏が終わるとレイ様は真っ直ぐに私を見つめた。

一斉に拍手が沸き起こる!

「レイ様…」

またドキドキと胸が高鳴る。
心臓持つかな?

「これはまた、選曲が熱烈ねぇ」

「クスクス。本当に。5本の薔薇もね」

「選曲が?薔薇も?」

「あとで教えてくれるわよ。きっと」

そのあとのプログラムも全て終わった。
素敵な演奏会は甘い余韻を残した。


< 44 / 81 >

この作品をシェア

pagetop