Shell


だけど、俺、


なんだかんだいって


この


「シェル」って


名前、気に入ってるんだ。


なんたって


名前がなかった俺に


はじめてついた名前だし、


それより


なにより


カナちゃんがつけてくれた名前だからさ。


カナちゃんっていうのはいいやつでね、


いつもホネッコをくれるんだよ。


俺はそれにいきよいよく


かぶりついて


よだれ


だらっだら たらしながら


むしゃぶりついてんの。


ニンゲンのあいだじゃこういうの


「かめばかむほどおいしい」って


いうらしいね。


犬の俺には


「そんなのかんけーねぇ!」って


カンジよ。


そんで、カナちゃんは


俺のあたまを


やさしく なでてくれるの。


さいしょは俺さ、


ホネッコとりあげられちゃうとおもって


「ガブリッ!」


かみついちゃったワケよ。


そしたらカナちゃん


ないちゃってさ。


犬ごころにも わかるんだよね。


「ああ、俺、今、悪いことしちゃったな」って。


それから俺、反省したの。


これからは


ただ


かみつくんじゃなくて、


あまがみを


しようってね。


あんのじょう、それから


カナちゃん、なかなくなったよ。


それどころか


こんどはやさしく


ほほえんでくれるんだ。


俺が手かげんしてるの


バレバレ。


カナちゃんは


やさしいし、


あたまもいいんだから


かなわないよ。





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