婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。2
「ふうん、オズボーン侯爵ね……ちょうどいいや、これから国議だから()()()()観察してくるよ」
「承知しました」

 他に緊急の案件を捌いてアイザックへ指示を出し、僕は国議が開かれる会議室へ向かった。
 今日の国議は国王とルノルマン公爵、それと王城に務める国政に関わる貴族たちが出席している。国王の声かけによって会議は始まった。

 部門ごとに提起された問題を議論して、処理を決定していく。財政部門から始まり、国土部門、執政部門と進んでいった。最後に国王が他にないかと声をかけるのが通例だ。

「では、これ以外になにかあるか?」
「国王陛下、恐れながら私からひとつお話がございます」
「オズバーン侯爵か。申してみよ」

 国王の許可を得たオズバーン侯爵は意気揚々と口を開く。

「はい、実はフィルレス殿下の婚約者、ラティシア様についてでございます」
「ふむ。確かわしのもとに意見書が来ておったな」
「その意見書の通り、伯爵家の当主とはいえ使えるのが治癒魔法のみとなりますと、いささか将来的に不安が残ります。なにせヒューデント王家は太陽の神の末裔です。攻撃魔法が使えてこその王家に、そのような血が混ざること自体承認し難いことでございます」

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