婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。2
「とにかく、これからコートデール公爵家の領地へ行き、最後の認定試験を受けてまいりますので、わたしが戻るまでにどうにかしてくださいませ」

 日程を延期したせいで、王城で受ける予定だった試験を現地まで出向いて受ける羽目になったのだ。面倒だがあのふたりを排除するための計画だったから仕方ない。

 幸いにも国王陛下が貴重な転移の魔道具を支給してくれたので、なんとかなりそうだ。

「わかっておる! それよりも、本当に結界は問題ないのだな!?」
「もちろんですわ。貴族たちの領地と、国王陛下の執務室と私室にも強力な結界を張りました。この防御はなにがあっても崩れません」
「……ううむ、わかった。では次の国議でラティシアを糾弾しよう」

 王妃様がいなくなり、もう失敗は許されない。
 ユニコーンと国王陛下は契約したけど、わたしに寄り添っているのだから聖女の方が優先度が高いようだ。

 国王陛下ならわたしが喜ぶような成果をあげなさいよ。偉そうなだけで役に立たない男だわ。
 渦巻く不満は口に出さず、国王陛下の執務室を後にした。



< 129 / 237 >

この作品をシェア

pagetop