婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。2
 翌日、コートデール公爵領の城がある街まで魔道具で転移すると、柔和な笑みを浮かべた夕陽色の短髪の騎士が出迎えた。

「ブリジット・オズバーン様でしょうか?」
「ええ、そうです。聖女ブリジットと申します。今回は認定試験でやってきました」
「このような田舎までご足労いただき、誠にありがとうございます。私はコートデール公爵家嫡男、オリバーと申します。馬車を用意しておりますので、こちらへどうぞ」

 街中へ魔道具を使って転移する場合は、混乱を避けるため特定のポイントに現れるようになっている。大概は大通りより少し外れたところにポイントがあるので、馬車で移動する際は大通りまで移動しなければならない。

 オリバー様の案内で馬車が停車している通りまで歩くことになった。

「屋敷は城塞のようでむさ苦しいですが、できる限り快適にお過ごしいただけるようにますので、不自由なことがあれば遠慮なくおっしゃってください」
「かしこまりました。ところで、ここに公爵家の屋敷があるのなら、一番栄えているのもこの街ですよね?」

 街の中を歩いているけれど、他の領地とも違いどこも閑散としていて活気がない。

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