婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。2
「また治癒室にて不当な言いがかりをつけた貴族たちについては事実無根の訴えで治癒室の業務妨害、およびカールセン伯爵への名誉毀損の罪にあたる。当主を変更のうえ降爵し、慰謝料の支払いを命じる。詳細は追って通達するゆえ、それまでは謹慎せよ」

 貴族たちはそれぞれ絶望に染まった表情で、自分の処罰を嘆いていた。こうして事実が明らかになったことで、私の治癒士としての腕は確かだと周知される。

 私の治癒士の誇りを守ってくれたフィル様に、温かい気持ちが込み上げた。

「次にブリジット・オズバーン。前国王と共謀し僕の婚約者であるラティシア・カールセンに対しての殺人未遂、および幻獣ユニコーンを私利私欲のために利用したことは大地の神への冒涜となる。よって貴族籍から除籍し最北の修道院にて、生涯をかけて贖罪せよ」

 最北の修道院は罪を犯した貴族女性が収監される場所で、厳しい戒律によって更生を目指す施設だ。ただ更生して戻ってきた貴族は少数で、ほとんどが戒律を破り厳しい折檻を受けて命を落とすと聞く。

 しかしブリジット様がどんなに更生しても、二度と戻ってくることはない。生涯をかけてとは、そういうことだ。

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