婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。2
「ラティ、焦がれるほど君が欲しい。僕は君だけを愛してる」

 背中を押すような愛の言葉を囁かれて、私は陥落した。

「……私も、フィル様が……欲し——」

 最後まで言い終える前に噛みつように口づけされて、今度こそ反抗せずにすべてを受け入れる。遠慮のないフィル様の愛情表現は、窒息しそうなほど激しくて深い。

 孤独を抱え、愛を求め、たくさん傷ついてきた、私の愛しい人。そんな傷ごと全部受け止めたいと心から思った。

「あー、ここじゃダメだね。寝室へ行こう」
「……はい」

 言葉にされて羞恥心が込み上げる。耳まで熱を持ったように熱いから、きっと真っ赤になっているに違いない。
 でもフィル様のキスで散々溶かされて、足に力が入らない。私がモタモタしていると、フィル様に抱え上げられた。

「ひゃっ! フィル様……!?」

 突然のお姫様抱っこに驚き、フィル様の首に腕を回した。そんな私にフィル様が嬉しそうな笑みを向ける。

「ふふ、ごめんね。僕が止められなくて、ラティが立てなくなったみたいだから」
「そっ……!」
「大丈夫、これでも鍛えているから安心して」

 それは心配してないけど、フィル様のキスでこんな風になった自分を晒したのが恥ずかしいのだ。それなのにフィル様は上機嫌で言葉を続ける。

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