婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。2
「僕のキスでこんな風になったラティもかわいい」
「…………っ!」
恥ずかしくて閉じた扉を無理やりこじ開けえられた上に、スポットライトを浴びたようないたたまれなさに悶えた。
耐えきれなくてフィル様の肩に顔を埋めたけど、石鹸の香りがさらに愛しい人の存在を意識させる。
もうなにをやっても、恥ずかしさも胸の疼きも止まらない。
フィル様は私を抱きかかえたまま、ふたりの寝室へ足を進める。器用に扉を開き、優しくベッドの上へ下ろしてくれた。
いつも私が眠るひとり用のベッドは、すぐ横に衝立があるはずなんだけれど——
「え? なんですか、このベッド……!?」
今朝までは確かにシングルベッドだったのに、フィル様のベッドもくっつけたようなキングサイズの天蓋付きベッドに変わっていて、衝立の影も形も見当たらない。
ご丁寧なことにベッドの上には真っ赤な薔薇の花びらが散らされて、高貴な香りに包まれている。
おかげでさっきまでの熱に浮かされたようなフィル様への劣情も、一気に吹っ飛んだ。
フィル様は笑みを深めてフカフカのベッドに片足を乗せ、獲物が逃げないように指を絡ませながら私の両手をベッドに縫いつける。
「もちろんラティと甘くて熱い時間を過ごすために用意させたものだよ」
「いえ、そうではなくて! 今朝まで使っていた私のベッドは……!?」
「…………っ!」
恥ずかしくて閉じた扉を無理やりこじ開けえられた上に、スポットライトを浴びたようないたたまれなさに悶えた。
耐えきれなくてフィル様の肩に顔を埋めたけど、石鹸の香りがさらに愛しい人の存在を意識させる。
もうなにをやっても、恥ずかしさも胸の疼きも止まらない。
フィル様は私を抱きかかえたまま、ふたりの寝室へ足を進める。器用に扉を開き、優しくベッドの上へ下ろしてくれた。
いつも私が眠るひとり用のベッドは、すぐ横に衝立があるはずなんだけれど——
「え? なんですか、このベッド……!?」
今朝までは確かにシングルベッドだったのに、フィル様のベッドもくっつけたようなキングサイズの天蓋付きベッドに変わっていて、衝立の影も形も見当たらない。
ご丁寧なことにベッドの上には真っ赤な薔薇の花びらが散らされて、高貴な香りに包まれている。
おかげでさっきまでの熱に浮かされたようなフィル様への劣情も、一気に吹っ飛んだ。
フィル様は笑みを深めてフカフカのベッドに片足を乗せ、獲物が逃げないように指を絡ませながら私の両手をベッドに縫いつける。
「もちろんラティと甘くて熱い時間を過ごすために用意させたものだよ」
「いえ、そうではなくて! 今朝まで使っていた私のベッドは……!?」