婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。2
 いつもよりメンタルを削られた昼食の後は、久しぶりに面会の予定が入っている。

 前回の判定試験を通して、私にはかけがえのない友人ができた。その友人たちとのお茶会をするため、庭園の東屋へ来ていた。

「ラティシア様、すっかりお元気になられたようで安心しましたわ」
「そうです! 知らせを聞いた時は本当に驚きました……お姉様がご無事でなによりです」

 そう話しかけてくれたのはアリステル公爵令嬢のイライザ様と、今はヒューレット王国へ留学しているアトランカ帝国のエルビーナ皇女だ。

 エルビーナ様は私を姉のように慕ってくれて、以前のような傲慢な態度は消え真面目に王立学院に通い汚名返上に励んでいる。

「無事でよかったが、月の女神の末裔なのに自分には治癒魔法が使えないなんて、不便なものだな」

 さらに今日はアトランカ帝国の皇太子グラントリー様まで一緒に来ている。グラントリー様も今では互いに名前で呼び合うほど気を許せる存在になっていた。

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