婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。2
「本当にありがとうございます。それで、今日は皆様にご相談があったのです」
「相談とは珍しいな。なんだ?」

 真面目に話を聞いてくれるようで、グラントリー様が身を乗り出す。イライザ様もエルビーナ様もグラントリー様も、立場的に命を狙われることもある。だからこそ相談相手にぴったりだと思った。

「実は毒を克服したいのですが、なにか方法をご存じないでしょうか? 治癒士として解毒方法は勉強したのですが、毒を口にしても死なない方法は知らなくて……」
「つまり毒が効かない体質になりたいということか?」
「はい、そうすれば、万が一毒を口にしても問題ないかと思いますので」
「うーん、それはなくはないがかなり危険を伴うし、フィルレスが許可しないと思うが」

 グラントリー様の返答は渋いが、方法があるなら試してみたい。多少の危険は覚悟の上だし、治癒室に通っている今ならなんとかなると思う。

「そうですわね。わたくしも公爵令嬢ですから心当たりはございますが、フィルレス様の耳に入ったらそれこそとんでもないことになりますわ」

 イライザ様の言葉を聞いて、フィル様に知られた際の私の未来がやすやすと想像できた。

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