婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。2
     * * *



 南海の美姫と呼ばれていたわたくしはヒューデント王国へ嫁ぎ、ふたりの男児を産み、やがて王妃となった。

 長男は魔力が膨大すぎてすぐ隔離され、次に対面したのは子供が十歳になった時だった。膨大な魔力を制御できるようになり、私の価値を高めてくれる最高の逸材だと期待して対面したのを覚えている。

 しかし下賤の女がそばにいたからなのか、再開した時には冷酷で恐ろしい化け物になっていた。それでも見目麗しく能力も十分だから、わたくしが産んだ息子としては上出来だった。

 一方次男アルテミオは長男ほど魔力が大きくはないけれど攻撃魔法が得意だし、わたくしの容姿を引き継いで中性的な美しい容姿でなにより扱いやすい。わたくしの王妃としてのプライドは長男が満たし、都合よく動くのが次男という状況だ。

「王妃様、国王陛下より知らせが届きました」
「そう、見せてちょうだい」

 夫からの知らせに目を通すと、万事計画はうまく進んだので次の段階に入れと書かれている。つまりわたくしに王妃として動けと言っているのだ。

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