婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。2
そう言って教本通りのカーテシーをする。実は今までこんな風に王妃様とアルテミオ様に会ったことがなかった。いつもフィル様が間に入ってくれていたので接することがなかったのだ。国王陛下も婚約者の宣言をした時以来、会っていない。
フィル様に尋ねたことがあったけれど『僕が段取りを組むから心配いらないよ』と言われ、そのままにしていた。しかし王妃様とアルテミオ殿下の突き刺さるような視線を受け、それが不敬だったと後悔する。
「また、ご挨拶が遅れましたこと、大変申し訳ございませんでした」
「それはいいわ。わたくしも貴女の顔など見たくなかったもの」
「それは……失礼いたしました」
やはり大きく機嫌を損ねていたようだ。もっと私からもご挨拶したいと訴えればよかった。そこで王妃様が一枚の紙を私に差し出す。
「この書類をフィルレスのところへ持っていってちょうだい。それから状況をよく見てきて後でわたくしに報告しなさい」
「はい、かしこまりました」
これが王妃様の妃教育なのかと疑問を感じつつ、最初に言われた通り指示に従う。
フィル様に尋ねたことがあったけれど『僕が段取りを組むから心配いらないよ』と言われ、そのままにしていた。しかし王妃様とアルテミオ殿下の突き刺さるような視線を受け、それが不敬だったと後悔する。
「また、ご挨拶が遅れましたこと、大変申し訳ございませんでした」
「それはいいわ。わたくしも貴女の顔など見たくなかったもの」
「それは……失礼いたしました」
やはり大きく機嫌を損ねていたようだ。もっと私からもご挨拶したいと訴えればよかった。そこで王妃様が一枚の紙を私に差し出す。
「この書類をフィルレスのところへ持っていってちょうだい。それから状況をよく見てきて後でわたくしに報告しなさい」
「はい、かしこまりました」
これが王妃様の妃教育なのかと疑問を感じつつ、最初に言われた通り指示に従う。