オムライスは甘口で

「元々よりどり亭のコックさんじゃなかったんだ……」
「不満かよ?」
「だって……いくらなんでも星つきのレストランでオムライスを頼むわけにはいかないでしょう?」

 『ルイス・ギャザリン』に食べに行けたらいいけれど、普通の会社員が仕事帰りにおいそれと行けるようなお店ではない。
 そもそもオムライスなんてメニューにないだろう。

「オムライスくらい自分の女のためならいくらでも作るけど?」
「え!?」
「先に言っておくけど、俺は好きな女はいじめるタイプの男だ。ベッドでもな」

(あ、れ……?もしかして私、口説かれている……?)

 したり顔で意地悪く微笑む真紘に美雨は真っ赤になりながら答えた。

「望むところです!!」
「ははっ。いい返事」
「ん!?」

 真紘からのキスは先ほど食べたばかりのトマトソースの味がした。

「ソースがついてたら食べちまうって言っただろ?」

 美雨は思わず口元をゴシゴシと擦った。
 この口の悪いコックに翻弄される未来しか見えない。





おわり



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