【短】最強のあたしが3番目に強い男に恋をした
骨抜きにされたあたしが、屋上から転ばずに階段を下りて帰っただけで、上出来だと思う。
こんな1日を、あたしはあれ以来、何回も過ごしている。
風吹を落とすどころか、あたしが風吹に翻弄されてるよ……!
このままじゃ不味い。
喋ってしまった時がイコール失恋だから、口を滑らすことはないだろうけど……。
これが続けば、あたしの頭の中が、風吹で埋め尽くされる!
いっそ監禁して逃げられないようにしてしまえとか、普通に考え出す!
「定森くん」
「……自分から来るなんて」
仮病を使って授業を抜け出したあたしは、同じく授業をサボっていた風吹を追いかけ、恥ずかしい思い出の多い屋上に来た。
イヤホンをつけて何か聴いていた風吹は、あたしを見ると片方のそれを外してスマホを操作する。