【短】最強のあたしが3番目に強い男に恋をした
「……口が滑りそうだから、じゃなくて?」


「全然! いやっ、口が滑るような隠し事もないんだけど!」


「ふぅん……」




意味深な相槌だけ打つ無表情の裏で、なにかろくでもないことを考えていそうで、あたしは慌てて先手を打つ。




「こ、これ以上続けられたら、定森くんのこと好きになりすぎておかしくなるから! そうなったら責任取ってくれる!?」


「……取るって言ったら、続けていいのか?」


「えっ!? ま、マジっ、じゃなくてほんとに!? って、ちょっ!」




それはそれでありだと思ってしまった自分を殴りたい。

声に滲み出た喜色を感じ取ってか、風吹は“あたし”じゃないと抵抗できない力で、ぐいっと後頭部を引き寄せて唇を重ねた。


バクバクと騒ぎ出す心臓を押さえて、力を抜かれたままへたり込めば、風吹は口角をほんの少し上げて微笑む。
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